【ドラゴンボール考察 少年悟空時代の戦闘概念】

<各自で異なる戦闘技術>

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現実の格闘競技の特徴として、格闘家としての総合的な実力レベルと個別の身体技術の優劣は一致しないというのがあります。

K−1で例えると、セーム・シュルトとレミー・ボンヤスキーでは、一般的にセーム・シュルトの方が格闘家として優れていると判断されます。
しかし飛び蹴りの技術でどちらが優れているかといったら、これはいうまでもなくレミー・ボンヤスキーと考えられます。

同様に、セーム・シュルトとレイ・セフォーでどちらが格闘家として優れているかといったら、これも一般的にセーム・シュルトと考えられます。
しかし相手をなぎ倒すようなフックパンチでどちらが優れているかといったら、レイ・セフォーと判断されます。

このようにその格闘競技の中で、決して最強と呼ばれるのに至らない選手が、この技の技術なら誰にも負けないという特徴を持つことは多々あります。



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このような傾向はDBの初期の戦闘概念の中で見ることができます。

最も考えられやすいのが、チャパ王とナムです。

チャパ王と亀仙人でどちらが武道家として優れているかといったら、亀仙人ではないかと思う。
しかし腕を素早く動かして何本にも見せる技術という点では、チャパ王(8本)は亀仙人(6本)を上回ります。

それと同様にナムと亀仙人でどちらが武道家として優れているかといったら、亀仙人だと考えられます。
しかしジャンプ力で亀仙人がナムよりも優れているかといったら、そうは限らないと思う。
根拠はありませんが、むしろ自分としてはジャンプ力なら「ナム>亀仙人」と見た方がいいのではないかと推測しています。

はっきりいえるのは、武道家として亀仙人の方がナムよりも格上なんだから、ジャンプ力でも亀仙人の方がナムよりも上になるだろうという見方は正しくないのではないかということです。



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このような傾向のものとして、武道家レベルと足の速さについて見ていきたいと思います。

初期クリリンの100m走のタイム10秒4(自己ベストは10秒1)というのは、オリンピックに出場できるほどのかなりのものです。
では武道家の落ちこぼれのクリリンが10秒4のタイムを出せるなら、多林寺の先輩や予選に出場した武道家などそれよりも格上の者たちはそれ以上のタイムが出せるのかといったら、そうは限らないのではないかと思う。

K−1やボクシングなど格闘競技の一流選手たちが、カール・ルイスなど短距離走の一流選手よりも闘いではるかに強いからといって、足の速さでも上回るかといったらそうはなりません。

それと同じく、当時のクリリンよりも格上の武道家たちでも、100m走タイムならクリリンを下回るやつらがゴロゴロいるというくらいの見方の方が適切ではないかと思う。

初期クリリンは、他作品でいうと『アイシールド21』の主人公のセナ(ケンカは全然弱くても足の速さなら超一流)のようなタイプと見るのがベストではないかと推測します。



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物語後半は戦闘で強い者は気が強い者となり、走るという動作も「気を集中」という技術によって行なわれるため、戦闘の強さとスピード(走力を含む)はかなり一致してきます。
戦闘力が高いほど、たくさんの気を足に集中してダッシュすることが可能となるためです。

戦闘では全然弱くてもスピードがとてつもなく速いというのは、アニメ版に登場したグレゴリーやリクームたちがイメージした悟空(戦闘力は5000だがスピードは自分たち以上)のような、作中でもかなりレアなものに留まります。

しかし物語初期は現実の人間の傾向と同じく、このようなケースは普通によくあることとして見ていくのが重要になるのではないかと思う。




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