【ドラゴンボール考察 少年悟空時代の戦闘概念】

<相性について(詳細)>

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相性が現われるもう1つの力関係として
「悟空」「クリリン・ヤムチャ」「チャパ王」
を例に上げていきます。

悟空がチャパ王をあっさりと倒した場面。

クリリン「いいのか?悟空。最初つからおもいっきり闘ってるとバテちゃうぞ」
悟空「ぜんぜんおもいっきりやってねえよーーー。オラ手加減しねえとあの人死んじゃうもんな。おめえたちのような強いやつとはやくおもいっきり闘ってみてえな!」

そして悟空にとって、チャパ王は楽勝だったのに対して、クリリンとはそれ以上の好勝負を繰り広げているという点。

これらを単純に戦闘力理論で解釈すると
「悟空>クリリン・ヤムチャ>チャパ王」
ということになります。

しかしそのような単純なものではないと思う。

チャパ王は3年前の悟空ならてこずると予測するにふさわしい実力者で、悟空が楽勝だったのは相性によるものだと推測します。

チャパ王のレベルの高さを示す内容の1つに、八手拳(腕が8本に見えるほどの高速拳打)があります。

ジャッキー・チュンが「いよいよ出るぞ。八手拳じゃ!!」と言うにふさわしく、八手拳とはジャッキー・チュンでも繰り出せないようなレベルの高い技術と考えられるように思う。



−2−

これを示すと思われるものが「天津飯vsジャッキー・チュン」戦に存在します。
この試合は、両者ともその動作を繰り出す上では全力が出ているものだと考えました。

そして天津飯がジャッキー・チュンの多重残像拳を撃ち破った後の追加攻撃の場面。
天津飯は「老人だとてえんりょはせんぞっ!!!この手の動きが見えるかなっ!?」と言って、腕を素早く動かして何本にも見せる攻撃をしかけますが、この時の本数というのが5本です。
この技はチャパ王の八手拳と同系等の技術とみていいのではないかと思う。

この攻撃はジャッキー・チュンに見切られて両腕をつかまれ、ボディにひざ蹴りをくらうという反撃をくらうことになりますが、この伏線と思われそうなものがその直前に存在します。

天津飯が腕を5本に見せる攻撃をしかける直前。
多重残像拳を破られてふっとばされたジャッキー・チュンは、
「なるほど。たいしたもんじゃわい・・・。このわしもマジにならざるをえんようじゃのう・・・」
と言って上着を脱ぎ捨て、アシュラ(またはセクシーコマンドー外伝のすごいよマサルさん)のように腕を素早く動かして6本に見せながら「こい!!」と構えをとります。
(この直後に天津飯の「この手の動きが見えるかなっ!?」という腕を5本に見せる攻撃がはじまる)。

天津飯が腕を5本に見せる攻撃をしかける直前の
「老人だとてえんりょはせんぞっ!!!」という言葉。

ジャッキー・チュンが腕を素早く6本に見せる動作を行なう直前の
「このわしもマジにならざるをえんようじゃのう・・・」という言葉。

これらから、両者のこの動作(腕を素早く動かして何本にも見せる)は全力を出してのものだったと考えられます。

そしてこれが決勝で悟空が見せた腕を8本に見せる技術につながってくるのではないかと思う。

悟空とジャッキー・チュンの多重残像拳が同レベルのスピード技と解釈するように、チャパ王の八手拳と悟空の腕を8本に見せる技も同レベルのスピード技と解釈します。



−3−

腕を素早く動かして何本にも見せるという技術において、チャパ王はジャッキー・チュンを上回ります。
それによってジャッキー・チュンがチャパ王を一目置く存在(3年前の悟空ではてこずると予測するほど)として認識し、「いよいよ出るぞ。八手拳じゃ!!」と警戒していた理由に説明がつきます。

また悟空がチャパ王の八手拳をさばいている場面。

クリリン「す・・・すげえ・・・・・・!!」
ヤムチャ「なんてやつだ。すべて受け止めているぞ・・・・・・!!」

ここから判断される、クリリンやヤムチャやジャッキー・チュンでは八手拳をさばくのが相当に困難であると予測される内容が自然なものとなってきます。
(八手拳をしっかりと防ぎきれずに何発かくらってしまうような状況だと、足元がお留守という弱点を突くのも難しいと思われる)。

よってクリリンやヤムチャにとって、チャパ王とは十分にやっかいな相手と認識するぐらいの実力者だと考えられます。
悟空がチャパ王をクリリンやヤムチャよりも大したことない相手と見ていたのは、現実の格闘技で見られる相性のようなものだと考えられるように思う。

同格の戦闘力水準でも腕を素早く動かして何本にも見せることのできる数は各自でかなり異なってきます。
それと同じく、同格の戦闘力水準でも八手拳を見切れるのは一部の者に限られてきます。
ジャッキー・チュンの場合、5本腕くらいまでなら見切れても、8本となると相当に困難になってくるように思う。

またジャッキー・チュンが天津飯の5本腕の攻撃を見切れたのが、自らの腕を素早く動かして見せられる本数が6本だということに関連していたとすると、悟空がチャパ王の八手拳を見切れたのは自らが八手拳を使えたからということになります。



−4−

続いて見ていきたいのが、悟空がチャパ王の顔面に最初にくらわせたパンチについてです。
ジャッキー・チュンがこのパンチを見て「はやい!!」と反応していることから、この飛び込みスピードもジャッキー・チュンでは出せないくらいの素早いものだったと考えられます。

そしてこの飛び込みスピードによる攻撃が再び見られるのが、悟空が天津飯戦で戦闘パワーに切り替えてから最初にくらわせたパンチだったのではないかと推測します。

天津飯にくらわせたのは横に振りぬくフックパンチで、チャパ王戦で見せたのは単純にまっすぐコブシを突き出すストレートパンチだったなど、種類にちがいはあります。
しかしこの2つがおよそ同じくらいのスピードと考えれば、ジャッキー・チュンが「はやい!!」と反応する見方にふさわしいものとなってくるのではないかと思う。
仮に天津飯戦で戦闘パワーに切り替えて最初にくらわせるパンチがフックパンチではなく、単純なストレートパンチで、さらに連続して追加攻撃も行なわなかったら、天津飯も多少後方にぐらつく程度だったというケースも考えられます。

悟空の試合用パワーと戦闘用パワーが気の強さの変化ではなく、繰り出す技の数であるように、チャパ王戦の全然本気を出していない状態というのも、その延長だと解釈するのが適切ではないかと推測します。



−5−

ここで改めてチャパ王の強さ(戦闘力水準)について考えます。

ナムの戦闘力水準は悟空やジャッキー・チュンと同格と考えられるものでした。
そうするとナムの強さが目安となるチャパ王も、戦闘力的には悟空やジャッキー・チュンと同格となります。
アニメ版の天龍や珍大拳と戦闘力的に同格と解釈すると、より違和感がなくなります。

また悟空vsチャパ王戦直前の場面。

▽ジャッキー・チュン
「孫悟空も初戦からとんでもなくやっかいな試合をしそうじゃのう」
「(さて、この3年で悟空がどう大きゅうなったもんかの・・・)」

このような3年前の悟空の強さを知りながら、チャパ王にてこずると予測する内容もその見方によって妥当なものとなります。



−6.アニメ版から見る相性−

第22回大会の中で相性による力関係ではないかと推測するものが、アニメ版の中にもう1つ存在します。
アニメ版では、ナムが第22回大会にも参加し、悟空たちと再会を喜び合います。
そして予選決勝でナムが天津飯に白目をむかされて気絶し、病院に運ばれる事態になったところへ悟空たちがかけつけた場面。

▽天津飯(笑みを浮かべながら去っていく時の捨てゼリフ)
「殺されなかっただけでもありがたいと思え。その程度で大会に出ようと思うのがそもそもまちがいというもの。これでもう2度と闘う気にはならんだろう」

ここから天津飯にとってナムとは、とるにたらない相手だったと判断できます。

それに対してヤムチャ戦での序盤の攻防直後。

▽天津飯
「(なんと・・・これほどのやつがいるとはな。こいつクチだけじゃないようだぜ。こんな手ごたえはひさしぶりだ・・・)」

ヤムチャとの試合後。

▽天津飯
「いまのヤムチャというやつがたぶん亀仙人の3人の弟子では一番の達人だったはず・・・」

天津飯にとっての評価は明らかにヤムチャの方がナムよりも上で、試合内容もその通りのものになっています。

ではナムの戦闘力はヤムチャよりも格下なのか。
決してそうではないと思う。

ナムの戦闘力水準は、第21回大会の悟空(亀仙人と同格)が、試合内の動作(序盤の肉弾戦攻防や大ジャンプなど)を繰り出す上では全力が出ていたと考えられるほどの実力者です。
よってヤムチャの戦闘力がそれを明確に上回るとは考えられません。

またクリリンの戦闘水準も悟空やジャッキー・チュンとはほぼ同格で、ヤムチャがそのクリリンと同格と推測される点。
これらからヤムチャとナムは、戦闘力的には同水準とみるのが適切ではないかと思う。

天津飯にとってヤムチャよりもナムの方が楽勝だったのは、悟空にとってクリリンやヤムチャよりもチャパ王の方が楽勝と見立てられるのと同じで、相性によるものだと考えられます。



−7.相性の具体例−

相性についてもう少し具体的に考えていきます。

第22大会決勝で天津飯が悟空の「消える攻撃」を攻略した場面。
これは戦闘力の高さによる攻略ではなく、3つ目で視力が優れているという特徴が可能としたものです。

▽天津飯(悟空がクリリン戦で消える攻撃を使用した場面より)
「(このオレでさえかすかにしか見えないのだ。他の者に見えるわけはない!!あの連続音はヤツが地を蹴る音だ・・・!!)」

ここから、同じ戦闘力の者でも、普通の目が2つの者では消える攻撃の攻略はかなり難しいものになってくることが予測できます。
悟空の消える攻撃は、3つ目の天津飯に相性が悪い技と考えられます。


続いて天津飯が四妖拳の4本腕で悟空の両手両足をつかんでから腹部に頭突きをくらわし、さらに連続して頭突きをくらわせようとしたところに、悟空が尻尾をたたきつけて危機を脱出した場面。
この四妖拳(+連続頭突き)からの回避も戦闘力差によるものではなく、尻尾が生えているという特徴が可能としたものです。
同じ戦闘力でも尻尾がない者では、このような脱出はできずにさらなるダメージを負わされていたことが予測されます。
天津飯の四妖拳(+連続頭突きとのコンボ)は、尻尾のある悟空には相性が悪い技といえます。

さらに悟空が腕を8本に見せる攻撃で天津飯の四妖拳を一気に攻略した場面。
これも戦闘力の高さではなく、腕を8本に見せる技術が可能としたということになります。
同じ戦闘力者でもこの攻撃技術を持っていなければ、攻略はかなり難しいものになるのではないかと思う。
天津飯の四妖拳は悟空に相性が悪いと考えられます。

また悟空がサングラスをかけて、天津飯の太陽拳を攻略した場面。
これも準決勝で天津飯が太陽拳を使ったことがきっかけで、それがなければあのような攻略は不可能だったと考えられます。
手の内を知ることが、攻略につながる一例です。

このように相性とは、相手の身体的特徴、各自で異なる戦闘技術、自らの手の内を知られているかどうか、といったことで現われてきます。




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