【ドラゴンボール考察 少年悟空時代の戦闘概念】

<物語初期の戦闘概念>

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サイヤ人の限界レベルとは、超人レベルを含む種族内レベルです。
では地球人の限界レベルとはどのくらいなのか。

これは老ピッコロ大魔王が悟空を倒した場面。
「くっくっく・・・。しょせん人間の行き着けるレベルはこんなものだ」

ここから判断される第22回天下一武道会編の悟空が目安となるものです。
では具体的にはどのくらいになるのか。

最初に以前の考え方について考えていきます。
第22回天下一武道会編の悟空や天津飯が成長していくためには、すぐに地球人の限界戦闘力を超える領域に突入する必要があるのかといったら疑問があります。

どちらかというとこの時期の悟空や天津飯は、超人レベルの最高級の実力者であるものの、種族内レベルの中でさらに戦闘力を伸ばしていくことが可能なところにいるという印象を受けました。
そうするとセルゲームの超悟空(自然体超1の最高レベル)や人造人間編の超悟空や超ベジータ(超1―1最高レベル)やフリーザ戦ノーマル悟空(ノーマルサイヤ人の最高レベル)と同じような領域内の位置付けと考えられてきます。

ただし限界値の瞬殺1つ分下を「最高レベル」と位置付けるのは、あのころのストーリーで考えられたもので、このころは限界値の圧倒1つ分上くらいで考えました。
つまり第22回天下一武道会編の悟空と老ピッコロ大魔王のちょうど中間的な戦闘力が地球人の限界レベルではないかという見方です。

しかし考察を進めていくうちに、このようなとらえ方は根本的にまちがっているという結論にたどりつきました。
このころの強さの描かれ方とは、より現実の人間に近いものとして描かれているというのが現在の考えです。



−2−

この見方を前提に物語り初期の戦闘概念について考えていきます。
悟空のカリン塔修業(超聖水のツボを奪う特訓)によるパワーアップは、単純にみると戦闘力が圧倒〜瞬殺1つ分の上昇したと考えられます。
しかしそうではないと思う。

亀仙人と桃白白の力関係とはどのようなものなのか。
以前はジャッキー・チュンと互角の死闘を演じた悟空が桃白白には手も足も出ずに完敗していることから、亀仙人と桃白白の戦闘力差も圧倒1つ分ほどの開きはあるのではないかと考えました。
しかし考察を進めていくうちに亀仙人は武術の神様と呼ばれるだけあって、桃白白(世界一の殺し屋と恐れられる)にもひけをとらない実力があるのではないかという見方にたどりつきました。

そしてこの考察の中で意外な重要ポイントとなるのが、映画「摩訶不思議大冒険」のストーリー展開です。
なぜここで映画を出すのかという見方は、ひとまず置いておくことにします。

この映画でミーファン武道大会に出場する悟空の強さはどのくらいなのか。
映画の冒頭場面を見ていきます。

[悟空とクリリンは亀仙流修業(牛乳配達やサメのいる湖での水泳やハチの攻撃をかわす特訓など)を黙々とこなし続け、ついに山のような巨大な岩をも動かすことに成功する]

亀仙人「くーっ!ほんとに動かしおった!!」
クリリン「ねっ!岩 動いたでしょ!」
悟空「なっ!これで拳法教えてくれるだろっ!」
亀仙人「う・・・うむ・・・。ま・・・まあな・・・」
悟空&クリリン「「やった!!」」
亀仙人「(ジョークだったんだけどな・・・)」
クリリン「それで?」
悟空「どうすんだ?じっちゃん」
亀仙人「と ゆうてもおまえたちに教えることはもうほとんどない」
悟空「えっ?」
クリリン「そんな!」
亀仙人「亀仙流武術の基本はおまえたちがこれまで毎日やってきた修業に全て含まれておるのじゃ!」
悟空「え?」
クリリン「で・・・でも・・・」
亀仙人「そこでじゃ。ま、おまえたちのウデを試すために東の国ミーファンで行なわれる武術大会に連れて行こうと思うのじゃが・・・行くか?」
クリリン「えっ!ミーファンに!?」
悟空「なんだそれ?」
クリリン「ミーファンっていえば色んな武術が生まれたところで強いヤツがわんさかいるんでしょ?」
亀仙人「うむ! おまえたちが技量を試し、さらに修業をするようにと思ってな。
そうじゃ。その甲羅をとってもよいぞ!」
悟空「え?いいの。取っちゃって!」
クリリン「よかった!このままじゃちょっとはずかしいもんな」
悟空「よっと!」

[背負っていた亀の甲羅を下ろす悟空とクリリン]

クリリン「おほ?」
悟空「わー!体が軽くなった!」
亀仙人「よし。おもいきりジャンプしてみろ!」

[おもいきりジャンプする悟空とクリリン]

悟空「うわーーっ!!」

[空中の最高点へ到達]

クリリン「オ・・・オレたち・・・・・・」
悟空「自分で飛んだんだよな・・・?」

[地面に着地]

悟空&クリリン「「す・・・すげーっ!!」」
亀仙人「ふっふっふっ」

[そして舞台は東の国のミーファンへ]


この悟空とクリリンがミーファン武術大会に出場するまでの内容は、原作で悟空とクリリンが第21回天下一武道会に出場するまでの内容をアレンジしたものといえるのではないかと思う。
よって悟空とクリリンがミーファン武術大会に出場した時の強さは、原作でいう第21回天下一武道会編(亀仙流修業後)の強さだと考えられます。


続いて悟空がボラを殺した桃白白に怒りを爆発させて挑みながら打ちのめされ、どどん波でカリン塔にまでふっとばされる場面。

悟空「こっ このヤロー!!よくもボラを!!」
桃白白「おまえも死ぬか?」
悟空「だれがー!!」

[桃白白にむかって突っ込んでいく悟空だが、攻撃をかわされて銅像に向かって蹴り飛ばされてしまう]
※ここは原作で桃白白が悟空の最初の攻撃をかわしてカリン塔に蹴り飛ばすバトル構図とほぼ同じ。

桃白白「もう終わりか。あっけないな!」

[よろけながらも立ち上がる悟空]

悟空「ち・・・ちくしょう・・・!!」
桃白白「ほう。死ななかったか」
悟空「これでもくらえ!!」
「か〜め〜は〜め〜! 波ーっ!!」

[かめはめ波をガードして服がボロボロになる桃白白]

桃白白「ぬおお・・・! おのれー!」
悟空「きっ 効いてねえ!!」
桃白白「どどん・・・ 波ーっ!!」

[どどん波が悟空に炸裂!]
[悟空は空の彼方へと飛ばされてしまう]

全体的に原作のバトル内容とほぼ同じといえるものですが、なんとこの映画ではどどん波をくらった悟空が北東2300km先のカリン塔の頂上(カリン様のいる部屋)まで飛ばされてしまうということです。

続きの内容です。

[どどん波ではるか空の彼方まで飛ばされた悟空は、カリン塔の部屋の中央の台座(超聖水のツボが置いてあったところ)にぶつかって目を覚ます]

悟空「いててて!」

カリン様「ん?」

[食事をしていたカリン様が悟空に気付く]

【ミーファン帝国宮殿の主催者席】

一般兵士「ド・・・ドラゴンボールが北東2300キロの地点に移動しました!!」
鶴仙人「なんだと!」

【カリン塔】

[目を覚ました悟空の服の胸の位置(どどん波が当たった場所)に空いた穴から四星球が転がり落ちる]
[足元に転がってきた四星球を拾うカリン様]

カリン様「こいつのおかげで命びろいしたな」
悟空「へ? そっか。オラじっちゃんに助けてもらったんだ」

−略:カリン様にもらった仙豆で傷も完治して元気になる悟空−

悟空「よーし。あのヤロウ今度こそ!」
カリン様「帰るか?」
悟空「ああ。いろいろ サンキュ!じゃあそのドラゴンボール返してくれ」

[しかしカリン様は四星球を後の水の入った瓶の中に放り込んでしまう]

悟空「あ!!なにすんだ、おめえ!!」


【ミーファン帝国の宮殿】

[ボロボロになった服を着替え終えた桃白白]

鶴仙人「早くジェット機の用意を!」
一般兵士「はっ!」
桃白白「そんなものはいらん。時間がかかりすぎる」
「それにしてもあの小僧が持っていたとはなあ・・・」

[宮殿の柱を指先とつま先の打撃でへし折って外す]

桃白白「北東に2300キロか。30分ほどで戻ってくるぞ」

[柱を聖地カリンに向かって投げつけた桃白白は、自らも前方に大ジャンプしてその柱に飛び乗り、その場所へと向かっていった]

【カリン塔】

[ドラゴンボールが沈んだ水の入った瓶をのぞく悟空とカリン様]

カリン様「見えるか?」
悟空「水がゆれてよく見えねえ」

[水のゆれで瓶の中の四星球が見えない]
[そこでカリン様は瓶の中に杖を入れて水のゆれを止める]

カリン様「これではどうじゃ?」
悟空「ん?」
「あ。よく見える!」

[瓶の中の水のゆれが止まったために、沈んでいる四星球が見えるようになる]

カリン様「わかったか?」
悟空「なにがだ?」
カリン様「ようするにじゃ。おまえはさっき友達を殺されてメチャンコ怒っておった」
悟空「あったりめえだ!」
カリン様「だから相手がよく見えずにやられてしもうたんじゃ」
悟空「え!?」
カリン様「相手をよく見るためには水のように心をしずめなければ見えるもんではない。したがって攻撃だってできやせん」
悟空「へー!!ひょっとしておめえすごくえれえヤツなのか?」
カリン様「やっとわかったか。これからはカリン様と呼べ!」
「本来ならばこの(塔の)下から登ってでなければこれないのだが、メシを食っておって油断したわい」

[柵からカリン塔の下を見る悟空]

悟空「えーっ!! ここを登ってくんのかー!!」
カリン様「それに相手に来られても迷惑じゃしなあ」
悟空「相手って桃白白!?」
カリン様「今 物凄い速さであっちからやってきておる」
悟空「よーしっ! 今度は負けねえぞ!!」
「筋斗雲ー!!」

そして悟空は筋斗雲で桃白白との再戦に向かい、2人が対峙したのはペンギン村の上空。
アラレちゃんが投げた大岩にぶつかった桃白白は上空から墜落。
ペンギン村でアラレやガッチャンを巻き込んだ悟空と桃白白の再激突がはじまる。

悟空「さっきはよくもやってくれたな!」
桃白白「ふふん!!それにしてもわしのどどん波をくらってよく生きていられたな」
悟空「ふところに入れといたドラゴンボールのおかげで助かったんだいっ!!」
桃白白「なるほど。運のいいヤツめ。ドラゴンボールを渡せ!」
悟空「ボールは渡さねえ!今度はもうやられねーぞ!!」
桃白白「はっはははっ!!身のほど知らずめが!たった3秒で息の根を止めてやるわ!!」

これ以降は原作の悟空vs桃白白の再戦に類似したバトル(アラレやガッチャンの乱入がある)が描かれて決着が付きます。


この映画の特徴として、悟空が桃白白に最初の闘いで敗れてから再戦で撃破するまで戦闘力的な成長は全くしていないというのがあります。
つまりこの映画では悟空(原作でいう第21回天下一武道会編レベル)が、その強さのまま、相手の動きをよく見るという技術を用いることで桃白白を撃破しているということです。

これはあくまで映画のストーリーであり、原作にこの理論をそのまま反映させるということはできません。
しかし一見デタラメに見えるこのストーリーは、原作の隠された真実を示しているのではないかという考えにたどりつきました。

つまり原作のカリン塔修業後の悟空の強さも、映画「摩訶不思議大冒険」と同じく、戦闘力的には第21回天下一武道会編の時と変化がないのではないかということです。

この考え方を前提に原作の悟空のカリン塔修業後の強さについて見ていきます。




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