【ドラゴンボール考察 キャラクター編】

<フリーザにとどめを刺した悟空の不可思議な要素>

−1−

ナメック星で悟空がフリーザにとどめを刺した場面には不可思議な部分が存在します。

それが地球に帰ってきた悟空がみんなと離れてトランクスと会話を始めた時の最初の一言。

▽悟空
「そういや礼を言わなきゃな。フリーザたちを倒してくれてすまねえ。オラがやっぱあまかったらしい・・・。あいつはナメック星でやっつけておくべきだった」

まるで悟空はナメック星でわざとフリーザにとどめを刺さなかったような言い方です。

確かに悟空には敵にとどめを刺そうとしない側面というのがあります。
しかし悟空が情けをかけたのは、自らの気円斬で胴体が真っ二つになったフリーザに命乞いをされて気を分け与えた時までではないかと思う。
「バカヤローーーッ!!!!!」とエネルギー波を放った時まで、フリーザを殺さない程度に加減していたという解釈はさすがに無理があるように思います。
エネルギー波でふっとばした後の空しい表情からも、それが伺えます。

この様子を見ていた界王様がヤムチャたちに状況を説明する場面。
「フリーザは死んだ・・・。孫悟空は自分の気を与えてチャンスをやったのだがヤツはそれを利用して攻撃したのだ・・・・・・。
・・・やむなく孫悟空はとどめを刺して・・・・・・」

この「やむを得ずにとどめを刺した」というのが、この時の悟空の心理状況として適切なものではないかと思う。

それでは地球に戻ってきた悟空の
「オラがやっぱあまかったらしい・・・。あいつはナメック星でやっつけておくべきだった」
とはなにか。

これに類似するケースをいくつか見ていきたいと思います。



−2−

最初に見ていきたいのが、1回目のベジータvs変身ザーボン戦で決着が付いた場面です。

[地面に叩きつけられて水没したベジータ]

ザーボン「姿を見せんな・・・・・・。死んだか・・・・・・?ベジータのことだ・・・。まだ生きているかもしれん・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。くっくっく・・・。どうやら身動きのとれんまま水死したようだ」

《パッ》
[変身を解く]

ザーボン「万が一生き延びたとしてもあの力の差を見せられてはもう逆らおという気もおきまい・・・・・・」

この時のザーボンの思考を整理しながら考えていってみたいと思います。

まず「どうやら身動きがとれんまま水死したようだ」。
これはザーボンがベジータは水死したと判断したことを意味します。

しかし「万が一生き延びたとしてもあの力の差を見せられてはもう逆らおという気もおきまい・・・・・・」
これはベジータがまだ生きている可能性も考慮に入れていることを意味します。

よってこの闘いの結果は、とりあえずベジータは死んだ(水死した)と判断されるものでありながら、まだ生きている可能性も考慮に入れられるものだったと考えることができます。



−3−

次にセルゲーム後に未来へと帰ったトランクスが、人造人間を倒しにいった場面を振り返ります。

[闘いの場に降り立つトランクス]

トランクス「きさまらもこれまでだ。かたづけてやる」
17号「・・・・・・なんだ生きていたのかトランクス・・・・・・。それにしてもおまえほどムダな努力が似合うバカはいないな・・・」
18号「もうあっさり殺っちゃってもいいだろ?うっとおしいからさ」
17号「遊びがひとつ減ってしまうがまあいいだろ。スキにしろ18号」

この場面を整理して考えていきたいと思います。

トランクスが姿を現した時の「・・・・・・なんだ生きていたのかトランクス・・・・・・」という反応。

これは17号にとってトランクスが生存していたことを知らなかったことを意味します。

もし17号が前回の闘いでトランクスをわざと生かして逃がすようなことをしていたらこのような反応はありません。

しかし18号がトランクスがうっとおしいから始末したいと言い出した時の
「遊びがひとつ減ってしまうがまあいいだろ。スキにしろ18号」

これは遊び相手の始末の決断をしたのは今回が初めてであったことを意味します。
そしてこの状況は18号がコンピューターゲームに負けていらいらしていたことがきっかけになっています。

つまり17号にとってトランクスにとどめを刺す決断をしたのは今回が初めてだけど、
かといってこれまでの闘いでトランクスをわざと生かして逃がすようなことをしていたわけではない。

これは変身ザーボンがベジータを倒した時と同じく、とりあえず相手を殺したと判断するものでありながら、死を確信するまでには至らなかったものと考えられます。

また悟飯が人造人間に闘いを挑みにいった場面。

▽17号
「それにしてもひさしぶりだな孫悟飯・・・。1年ぶりぐらいか?あれだけやられてよく生きていられたもんだ・・・」

これもそれと同様に解釈できるのではないかと思う。

そして悟飯を殺そうとする場面。

▽17号
「今度こそ逃がしはしない・・・。殺す!」

これは17号のお気に入りの服が悟飯の不意打ちでボロボロにされてムッとしていたという状況がきっかけになっています。

人造人間が悟飯やトランクスにとどめを刺す決断をしたケースとは、いずれも人造人間の機嫌が悪かった時という共通性があります。



−4−

この17号たちの心理をよりわかりやすく示しているものが、アニメ版のTVスペシャル「絶望への反抗!!残された超戦士・悟飯とトランクス」にあります。

悟飯が片腕を失うきっかけとなる遊園地のバトル(悟飯が殺されるバトルの1つ前)で悟飯とトランクスが2人で人造人間に闘いを挑みにいった時のことです。

―――追いつめられていく悟飯はトランクスをかかえて必死で逃げて建物の陰に身を隠すが、それに対して18号は周囲全体を爆破してしまう。
なんとか耐えてガレキの陰で身を潜める悟飯たち―――

18号「ちえっ!もうここで遊べないよ」
17号「あいつらにとどめを刺さなきゃ」
18号「もう死んだよ、きっと・・・。生きてるんならまた会うさ。帰ろう!」
17号「そうだな!」

これは多分死んだだろうと判断しながら、まだ生きている可能性も考慮に入れているものです。
ザーボンがベジータは多分死んだだろうと判断しながら、死を確認せずに見逃してしまったケースと同じです。

原作の番外編で悟飯が人造人間に挑みにいった場面。

▽17号
「あれだけやられてよく生きていられたもんだ・・・」

セルゲーム後にトランクスが人造人間に闘いを挑みにいった場面。

▽17号
「なんだ生きていたのかトランクス・・・・・・」

これは17号たちにとって以前の闘いというのが「多分死んだだろう」と思うくらいの認識であったと考えればしっくりくるのではないかと思う。

そして悟飯を殺そうとする場面。

▽17号
「今度こそ逃がしはしない・・・。殺す!」

トランクスを殺そうとする場面。

18号「もうあっさりやっちゃっていいだろ?うっとうしいからさ」
17号「遊びがひとつ減ってしまうがまあいいだろ。」

これはこれまでのように「多分死んだだろう(もし生きていればまた会うだろう)」といった中途半端などどめの刺し方をするのではなく、「確実に殺す」という意思表示を示すものだと思う。



−5−

ナメック星で悟空がフリーザにとどめを刺した時の心理とは、ザーボンや人造人間の心理に共通するものではないかと思います。

悟空が「バカヤローーーッ!!!!!」とエネルギー波を放ってフリーザを倒した場面。
これは悟空にとって決してフリーザをわざと生かして逃がしてやったというものではなかったはずです。

しかしフリーザがまだ生きている可能性もあると考えられてしまう範囲の中途半端なとどめの刺し方でもあった・・・・

それが悟空が地球に帰ってきた時の
「フリーザたちを倒してくれてすまねえ。オラがやっぱあまかったらしい・・・。あいつはナメック星でやっつけておくべきだった」
という発言の意味ではないかと思います。

そして悟空がフリーザに確実にとどめを刺しにいこうとする姿勢とは、17号たちが悟飯やトランクスに確実にとどめを刺しにいく決断をした時のようなものになるのではないかと思う。
おそらく未来世界で悟空が地球でフリーザ親子を倒した時には、そのような闘いの姿勢で行われたのではないかと推測します。




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