【ドラゴンボール考察 気と戦闘力の関係】

<現実の力の概念とのちがい>

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『DB』のの戦闘概念と現実の戦闘概念には大きなちがいがあります。
それは強さの基準が「気」にあるということ。

『DB』では体格に大きな差があっても戦闘力(気の大きさ)が互角なら強さは互角です、
(「トランクスvsセルジュニア」より)。
またコルド大王よりもセルジュニアの方がはるかに強いように、体格に大きな差があっても戦闘力(気の大きさ)で相手を上回ればそれが実力差となります。

これは現実では考えられない理論です。
プロボクシングでも最軽量級のミニマム級のボクサーが、最重量級のヘビー級のボクサー並の破壊力のあるパンチを繰り出すことは絶対に不可能です。
ミニマム級(最軽量)のボクサーがヘビー級(最重量)のボクサー並の破壊力パンチを繰り出すためには、練習によってヘビー級並の体重や筋肉を身に付ける必要があります。
ただし人間の身長や体重はある程度遺伝によって規定されるところもあり、練習によってミニマム級ボクサーがヘビー級の体格を身に付けるというのは実際のところ非現実的なところがあります。
また一部のプロバスケット選手のような190cm以上の高身長も誰もが練習によって身につけられるようなものではありません。
そしてただの肥満体型は別として、コルド大王やリクームくらいのある程度ひきしまった肉体で高体重を維持するためには、一定以上の高い身長が必要となります。

現実の理論で考えれば、セルジュニアがあの体格のままコルド大王以上の破壊力のパンチやキックを繰り出すというのは絶対に不可能だと考えられます。

第22回天下一武道会の「悟空vs天津飯」も現実の理論で考えた場合、あれだけ体格がちがうと同じくらいの威力のパンチやキックを繰り出すというのは不可能です。
悟空が天津飯と同じくらいのパンチやキックを繰り出すためには、天津飯と同じくらいの体重や筋肉を身に付ける必要が出てきます。


この概念と同様のものとして、現実の重量挙げの世界記録を例に上げてみていきたいと思います。

重量挙げはボクシングと同じく体重別の階級に分かれ、種目は「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」の2種類が存在します。

男子重量挙げ(クリーン&ジャーク)の階級別世界記録一覧

50kg級  168.0s
62kg級  182.5s
69kg級  197.5kg
77kg級  210.0kg
85kg級  218.0kg
94kg級  212.5kg
105kg級  237.0kg
105kg超級  263.5kg


56kg級と105kg級では体重が1.9倍近くも差がありますが、持ち上げ重量も70s近くもの差が生まれています。
70kgというと大人1人分の体重に相当します。

現実の人間が250kg以上の物を持ち上げるためには、105kg以上の体重とそれにともなった筋肉質の肉体を身につけなければなりません。
ボクシングの階級とパンチ力の差に共通する性質です。



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このような現実の強さを覆すのが『DB』の気の概念です。
現実の研究でも人間に気が存在するとはいわれていますが、現実の気の性質と数々の漫画で使われている気の性質にはかなりのちがいがあります。
気を使った技などはほとんど全部が漫画オリジナルと判断していいように思う。

現実のボクシングでいうミニマム級(最軽量)とヘビー級(最重量)のような体重差があっても、戦闘力(気の大きさ)が互角なら、およそ同じくらいの威力のパンチやキックが繰り出せるという性質。
あんなに体格の小さいセルジュニアがコルド大王よりもはるかに威力の高いパンチやキックを繰り出せるという性質。
これらは漫画特有の気の概念が可能としているものです。



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ここで悟空たちの体重と持ち上げ重量について見ていきます。

ベジータがブリーフ博士に300倍の重力室を作るように頼んだ場面。

▽ブリーフ博士
「ム・・・ムチャクチャな・・・・・・。ベ・・・ベジータくんが体重60キロだとしたら・・・じゅ・・・18トンにも な・・・なるんだぞい・・・・・・」

ここからベジータの体重はおよそ60キロくらいと考えられます。

仮にベジータよりも少し大きい悟空を体重70キロとします。

ブウ編の悟空はノーマルで8トン、超サイヤ人で40トンの重りを身に付けて自由に動けるだけの強さがあります。
(第25回天下一武道会前の界王様との修業より)。

この体重70kgの悟空が8トンの重りを持ち上げていられるという現象。
これも漫画特有の気の概念が可能とするものです。

現実の理論で考えた場合、体重70kgの者が8トンの重りを身に付けて自由に動けるだけの力を得るというのは絶対的に不可能なことです。
持ち上げ可能な重量は筋肉量に比例していくもので、体重70kgで身に付けられる筋肉量には限りがあるからです。
では現実理論で1トン以上の物を持ち上げられる者とはどのような存在なのか・・。

ここで考えられてくるのが童話などに出てくる巨人の存在です。
一般的に巨人とは現実の人間が絶対に持ち上げられないような重い物でも軽々と持ち上げてしまうほどの力がある者として描かれます。
巨人の手のサイズが巨大な戦艦や建物も普通につかめてしまうほど大きかった場合、巨人はそれを軽々と持ち運んでしまいます。
現実の人間がラジコンの車を軽々と持って移動させてしまうのと同じような感覚です。

なぜ巨人はそれほどまでに怪力なのか・・。
それは巨人の体重や筋肉がその重量を軽々と持ち運べるほどの水準に達しているからではないかと思う。

逆に小人(昆虫サイズくらい)は我々人間よりもはるかに非力な存在です。
人間が片手で普通につかめるくらいの石(ソフトボールサイズ)でも、昆虫サイズの小人にとってはとても持ち運べない重さとなっています。
それはその小人の体重や筋肉がソフトボールサイズの石を持ち上げられる水準に達していないからです。

実際の生物の中から例えると、ティラノサウルスやプロントサウルスは相当に巨大な重量の物でも背中に背負って動くことができるのではないかと思う。


現実理論に基づく中で8トンの重りを身に付けて動ける者が現われるとするなら、それは巨人や恐竜のような存在でしかありません。
DB世界で体重70kgの者が8トンの重りを身に付けて自由に動くことが可能となっているのは、漫画特有の気の概念によるものです。



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重力修業の特徴について考えていきます。

重力によって体にかかる負荷はどのくらいなのか。
悟空の体重が70kgという見方を前提にすると、100倍重力の環境では体重は7000kgとなります。
そうすると100倍重力で自由に動ける悟空とは、7トンの重装備を身に付けて自由に動けるのと同じではないかという見方が生まれてきます。

しかしこの見方には問題点が出てきます。
それは体重35s(悟天くらいの体格とする)が100倍重力をクリアした時には3.5トンの重装備を身に付けて自由に動けるくらいの強さしか身に付かないということです。
これでは体重70kgの者でも35kgの者でも100倍重力をクリアした時にはほぼ同等の力が身に付くと推測する状況に当てはまりません。

ではどのように考えられるのか。
規定の重力をクリアするためには、体重の大小に関わらず、一定以上の戦闘力を身に付けることが求められます。
それを踏まえると重力の負荷とは、亀の甲羅や重装備特訓と同じく、体に一定の重量がのしかかる性質と考えるのが適切ではないかと思う。
それによって規定の重力をクリアした時の戦闘力は、体重の大小に関係なく同等のものとなります。

DB世界では体重に大きな差があっても戦闘力が同じなら100kgの物質を持ち上げる時に体にかかる負荷は同じになります。
それと同じく重力修業も、戦闘力が同じなら体重に大きな差があっても100倍重力によって体にのしかかる負荷は同じとなります。
100倍重力によって体にのしかかる負荷とは、50倍重力をクリアした時の悟空の戦闘力では自由に動くことが困難なものとなります。



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別の視点から重力の特徴について考えていきます。
物質を地面に引き付ける重力とは「引力」です。
重力以外の引力としては、磁石の「磁力」が存在します。
悟空が界王星の地面に吸いつけられてなかなか動くことができなかった状況は、磁石に強引に吸い付けられた鉄と同じと考えられます。

重力は引き付ける力が大きければ大きいほど、自由に動くために抵抗する力は大きくなります。
体重の大小に関係なくどの対象にも同じだけの負荷を与える「重力」とは引力の大きさです。


ここで鉄の横に磁石を置いた時のように横から引力が働いた状況を想定します。
現実の場合、重い体重の人間はそれだけで横からの引力に強く抵抗することができます。
小さな体の人を吹き飛ばすほどの強風でも体重が重い人は持ちこたえられるのと同じです。

また強い力を発揮するためには重い体重にともなった筋肉を身に付ける必要があるため、横からの引力に抵抗できる強い者は、必然的に体重の重い人間となります。
バスや建物を軽々と持ち上げる巨人を横からの引力で吸い付ける(自由に動きにくくする)ためには、相当に強い引力でなければなりません。

DB世界の場合は、悟空の家の近くの山賊(ジャンケングーでやられたやつ)のように体重が重くても戦闘力が低ければ横からの引力に引き付けられ、自由に動きにくくなります。
またセルジュニアのように体重が軽くても戦闘力が高ければ横からの引力に抵抗して自由に動くことが可能となります。

DB世界の重力修業(戦闘力が同じなら体にかかる負荷も同じ)は、これと同じようにとらえるのが最適ではないかと思う。

つまり気の力によって重力に引きつけられる程度を弱めている(またはほぼ無効化している)といった性質のものではないかと推測します。



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重力に抵抗する技術(引きつけられる程度を低下させる技術)とはどのようなものなのか。

重力に抵抗する技術の1つとして「舞空術」が上げられるように思う。
通常の重力の中で舞空術で空中停止している状態とは、気の力で重力に引きつけられないようにしている状態です。
よって重力が強くなるほど舞空術で空中静止するために必要な気の力は強くなります。
強い重力の中で地面に足が触れながら行動する状態もこれと同じような技術が活用されているのではないかと思う。

強い気の力で抵抗するほど重力に引きつけられる程度は低くなり、通常重力時に近い素早い走りや高速飛行が可能になります。
そうすると気の力で引きつけられる程度を通常の地球の重力くらいにできた時の体重は、通常重力時の体重とほぼ同じになります。

体重に大差があっても100倍重力の中で自由に動けるようになった時に身に付く力(戦闘力)はほぼ同じというのは、そのような原理によって可能となるものではないかと推測します。



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他作品の中から重力抵抗系の技術と思われるものを見ていきます。

『NARUTO』には木を垂直に登る技術や木の枝に逆さに立ったり歩いたりする技術というのが存在します。
この技術はチャクラのコントロールによって適量のチャクラを足の裏に集中して木に吸着するというものです。
『NARUTO』のチャクラは『DB』でいうと気のようなものです。

木を垂直に登る技術は『DB』のアニメ版で桃白白がカリン塔を垂直に走って登っていった技術に共通します。
逆さに立つ技術は、天井に立つケースなど他作品でもいくつか見ることができます。




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