【ドラゴンボール考察 気と戦闘力の関係】

<旧戦闘力概念の特徴>

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旧戦闘力概念の特徴について考えていきます。

現戦闘力概念の地球の戦士たちの戦闘力のコントロールというのが、自然値よりも低く抑える(最高0にできる)という定義。
これは旧戦闘力概念のかめはめ波や魔貫光殺砲のような戦闘力の上昇する必殺技を放てることが戦闘力のコントロールができる者の特権であるという定義を打ち消すことでなりたつものです。

それによって現戦闘力概念ではかめはめ波が戦闘力の上昇効果がない技となり、戦闘力のコントロールができない者でも同系等の技を放つことが可能となります。
(ベジータのギャリック砲やジースのクラッシャーボールなど)。

よって旧戦闘力概念の中に自然値よりも低く下げるのが、地球の戦士たちが得意とする戦闘力のコントロールであるという定義は存在しません。

これはラディッツ戦の悟空とピッコロは戦闘力を低く下げることができないことを意味するもので、スカウターの感知から逃れる術はないことになります。



−2−

これを証明するものが作中に存在します。
カメハウスで悟空がラディッツに打ちのめされ、リターンマッチを挑みにいこうとした場面を見ていきます。

悟空「あ・・・あのやろう。ゆるさねえぞ・・・・・・」
クリリン「ど・・・どうするつもりなんだ・・・?おまえのアニキ・・・ ハンパな強さじゃないぞ・・・。悟空でさえかなわないんじゃまるっきり勝ち目は・・・」
悟空「シッポだ・・・・・・。あいつの弱点はたぶんシッポだ・・・。シッポを強く握れば力が抜けてしまうはずだ。
オラがそうだった・・・・・・」
亀仙人「そ・・・そういえばたしかに・・・」
クリリン「だ・・・だけどさ、あいつのシッポを握るなんてことできるか・・・・・・?」
悟空「オラひとりじゃとてもムリだ・・・」
クリリン《ギクッ》
亀仙人「う・・・うむ・・・。わしらがやれるだけやってみよう。ヤムチャや天津飯もおらんのじゃからな・・・」
クリリン「そ・・・そうだな。3人一緒に闘えば、なんとか・・・。自信ないけど・・・」

ラディッツに再戦を挑むにあたって悟空が提案した作戦とは、複数で挑む事を前提にラディッツのシッポを握って力を抜けさせてしまう事にありました。
しかも最初はピッコロと一緒ではなく、クリリンと亀仙人の3人で闘いを挑むという計画です。

そして悟空とクリリンと亀仙人の3人で再戦を挑みにいく決意を固めた場面。

▽悟空
「よし・・・!こっちから行って奇襲をかけよう!まさか来ると思ってねえから油断してるはずだ!」

この「奇襲」とはなにか・・。

【国語辞典より】

■奇襲
相手の思いつかない方法で、不意をついて攻撃すること。不意打ち。



奇襲とは不意打ちのことです。
つまり悟空の最初の作戦は、複数のメンバーで不意打ち(奇襲)を決行してラディッツの尻尾をつかまえにいくというものになります。
これはピッコロと2人で挑む予定に変わった時にも共通します。


それではなぜ不意打ち(奇襲)は行われなかったのか・・。
悟空とピッコロが空を飛んでラディッツのいる場所に近づいてきた場面。

悟空「近いぞ!!そろそろ下に降りて近づこう!!」
ピッコロ「ムダだ!!このまま行けばいい!!」
悟空「え!?」
ピッコロ「やつは妙な機械を使っている!!標的の位置やその強さまで手に取るようにわかるらしいぜ!!」
悟空「じゃあ・・・オラたちが近づいているのも・・・!」
ピッコロ「とうぜん気付いてるはずだ!」
悟空「そうか・・・。真っ正面からやるしか道はねえわけだ・・・!!」


悟空の「近いぞ!!そろそろ下に降りて近づこう!!」という言葉。
これはラディッツに気付かれずに近づくという奇襲(不意打ち)を行うための作戦と考えられます。
ラディッツが見えるところまで(つまりお互いの視界に入るところまで)空を飛んで近づき、そこから着地するというやり方では見つかりやすくなってしまうためです。

これは悟空がレッドリボン軍の本部に乗り込んで、ヤムチャや亀仙人たちが助っ人しようと飛行機で本部に向かった時の動きに似ています。

(飛行機内より)「よーーし!!ついに来たぞ。レッドリボン軍の基地だ!!」
ヤムチャ「着地するぞ!」
ランチ「なんでこんな離れた場所に降りるんだ?遠いじゃないか」
ヤムチャ「基地に近づきすぎると迎撃をうける!このあたりで降りて、敵に気付かれんように走って乗り込もう!」

空を飛んで敵のいる目的地に向かいながら相手に近づかれないように少し離れたところに降りて、そこから走って近づくというのは、奇襲を確実に成功させようとする上で鉄則となるものではないかと思います。

そして悟空の「近いぞ!!そろそろ下に降りて近づこう!!」という奇襲計画(不意打ち作戦)を否定するのが以下のやりとり。

ピッコロ「ムダだ!!このまま行けばいい!!」
悟空「え!?」
ピッコロ「やつは妙な機械を使っている!!標的の位置やその強さまで手に取るようにわかるらしいぜ!!」
悟空「じゃあ・・・オラたちが近づいているのも・・・!」
ピッコロ「とうぜん気付いてるはずだ!」
悟空「そうか・・・。真っ正面からやるしか道はねえわけだ・・・!!」

というものです。


これは悟空やピッコロはラディッツのスカウターに感知されないように戦闘力を小さくして(または0にして)接近することはできないものとして描かれている内容で、旧戦闘力概念の時期ならではと考えられるものです。



−3−

それでは現戦闘力概念ではどうなのか。
最もわかりやすい場面として、クリリンと悟飯がフリーザ一味の向かったムーリ長老のいる村へ向かった場面を見ていきます。

(クリリンたちが出発するところ)

クリリン「悟飯。なるべく気を抑えながら急ぐんだ!できるな」
悟飯「はい!」

《シャッ シャシャッ》
[舞空術は使わずに走って(湖はジャンプで飛び越えながら)目的地に向かう]

そしてフリーザ一味のいる地点(ムーリ長老の村)に近づきます。

《シャッ シャシャッ》
[走り続けるクリリンたち]

クリリン「近い!!近いぞ!!気を完全に消すんだ!歩いて近づこう!」
悟飯「はいっ!!」

[走るのをやめて腰をかがめた前傾姿勢で慎重に歩いて近づくクリリンと悟飯]

クリリン「あのガケのむこうだ・・・!」
「す・・・すんげえ気だな・・・」
悟飯「《ゴク・・》」

[ガケの先まで行って下をのぞく悟飯たち]
《チラ・・・》

[すると下にはナメック人たちの村が・・]

悟飯「あ・・・・・・!ボ・・・ボクたちの乗ってきた宇宙船のようなおうちがある・・・!!」
クリリン「や・・・やつらなにやってんだ・・・!?」

このようにスカウターに感知されないように相手の付近までしのびよることができています。

続いてドドリアがデンデにとどめを刺そうとする場面。

ドドリア「げへへへ・・・。こんなガキぶっつぶしてもつまらねえがな!
まあとりあえず死ねえっ!!!!」

[怒りが頂点に達した悟飯]

悟飯「やめろぉぉーーーっ!!!!!」

[ガケの上からジャンプして飛び出す悟飯]

クリリン「!!」

フリーザ「!?」
ザーボン「!?」
ドドリア「なんだ!?仲間か!!!どこだっ!?」

[声のした方を向くフリーザ・ザーボン・ドドリアだがジャンプして空中にいる悟飯が視界に入らない]

《バキッ!!》
[空中から急降下した悟飯の蹴りがドドリアの顔面に炸裂!]

[後方の家につっこむドドリア]

クリリン「あ・・・あのバカ!!!」

[続いてクリリンも飛び出す]

ドドリア「な・・・なんだ〜〜!?てめえは!?」
悟飯「おまえなんか!!!ボクがやっつけてやる!!!!」
ドドリア「なんだとぉ〜〜!!!」

《ドガッ》
[立ち上がろうとしていたドドリアだが、そこへクリリンの蹴りが追加炸裂して再び倒れる]

悟飯「クリリンさんっ!!!」
クリリン「バカヤローーッ!!!逃げるんだ。はやくっ!!!!」
悟飯「え・・・あ・・・!!」
クリリン「はやくっ!!!!」

[デンデをかかえたクリリンと共に逃げる悟飯]


この悟飯とクリリンの一連の動作。
これはまさに「不意打ち」というものではないかと思う。
追加攻撃を加えたクリリンも同様です。

ドドリアは悟飯の不意打ちによる蹴りをくらってデンデの殺害を阻止されました。

そして「不意打ち」とは「奇襲」を意味するもの。

悟空がラディッツに再戦を挑みにいくにあたって「よし・・・!こっちから行って奇襲をかけよう!」と企んだ奇襲です。

この奇襲作戦はピッコロにスカウターの機能(居場所を感知することができる)を知らされて断念することになりました。

しかしそれがナメック星のクリリンと悟飯には戦闘力のコントロールという技術によって普通に可能なものとなっているということです。

これは「自然値よりも低く下げるのが戦闘力のコントロールである」という定義が、現戦闘力概念に入って新しく出てきたことによるものではないかと考えられます。



−4−

旧戦闘力概念とは、悟空たちが戦闘力を自然値よりも低くする術を持たないことを特徴とします。
しかしこの考え方には疑問点が出てきます。

スカウターに戦闘力を感知されないように戦闘力を0にするというのは、「気配を消す」という技術によるものです。
これは悟空が天界でミスター・ポポに教わった「心を無にする」という技術で、第23回天下一武道会の時点で習得します。
よってラディッツ編の悟空が戦闘力を0にできないのはおかしいのではないかという疑問が出てきます。

いったいどういうことなのか・・。
これはスカウターのメカニズムが旧戦闘力概念現戦闘力概念時で異なっているからではないかと考えます。
かめはめ波が戦闘力の数値上昇につながっているというのも、初期のスカウターのメカニズムが後のものとは異なっているからです。

悟空の「気配を消す」という技術は旧戦闘力概念の時から存在しています。
しかし当時のスカウターのメカニズムは、「気配を消す」という技術がスカウターの戦闘力を0にすることにつながらないものになっているということです。



−5−

気配を消しても居場所を見つけ出すことができるというのはどういうものなのか・・。
これに類似するものが存在します。

魔人ブウ編で悟空たちが界王神と一緒にバビディのアジト前の岩場に隠れ、敵の動向を伺っていた場面。
界王神の「みなさん気配を殺してください。いいですね」という指示通り、悟空たちは敵に見つからないようにする状況をとって隠れています。
しかしプイプイがヤムーを始末した直後・・。

バビディ「さーーーてダーブラ・・・・・・」
ダーブラ「は」
バビディ「やっぱしわしの計算どおりヤムーたちはたくさんのエサを連れてきたようだね。・・・ずっと昔わしの親を殺しちゃった界王神と一緒に・・・・・・・・・」
ダーブラ「あれでも隠れているつもりらしい・・・。全部で・・・・・・7匹です。界王神とキビトのエネルギーは使えないとして・・・・・・3匹ほどはすばらしいエネルギーを持っているようですな・・・・・・・・・」
バビディ「そうみたいだね。あの3匹だけでも充分すぎるほどのエネルギーが手に入りそうだよ・・・・・・。くひひひ・・・魔人ブウの復活がこんなんに早くできるとはさ・・・・・・」

この悟空たちが気配で見つからないようにしているにも関わらず、問答無用で居場所や強さを把握してしまうバビディやダーブラの能力。
これは彼らの言葉からエネルギーを感知して居場所を把握したものと思われます。

気配というのは自分の意志で消したり元に戻したりできるものですが、エネルギーはガソリンと同じく使うことで消費していくものです。
自分の意志で小さくしたり元に戻したりすることはできません。

気配を消してもエネルギーはそのまま。
悟空たちが気配で見つからないようにしてもエネルギーで感知されてしまったのはそのためではないかと考えられます。


スカウターのメカニズムである気配を消す技術が戦闘力が0になることがつながらないという特徴。
これはバビディやダーブラが隠れている相手を見つけ出す時のエネルギー感知方式に近いものではないかと推測します。

旧スカウターメカニズムの「気をためる(エネルギーをためる)」という技術が戦闘力の数値上昇につながるという特徴も、スカウターの感知対称がエネルギーにあるものだと考えられます。



■旧スカウターメカニズム(旧戦闘力概念)
気配を消す技術が戦闘力が0になることにつながらない。
(気配を消してもスカウターに感知される)
「気をためる(エネルギーをためる)」という技術が戦闘力の数値上昇につながる。

■現スカウターメカニズム(現戦闘力概念)
気配を消すと戦闘力が0になる。
(気配を消すとスカウターに感知されなくなる)
「気をためる(エネルギーをためる)」という技術が戦闘力の数値上昇にはつながらない。





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