【ドラゴンボール考察 気と戦闘力の関係】

<界王拳という技>

−1−

悟空が界王様に教わった界王拳という技はどのようなものなのか。

戦闘力を何倍にも上昇させる技というのは一見都合がいい技のように思えます。
しかしこれは現実の人間が力を出す時の特性から考えられてくるものではないかと思う。

現実の人間の体の構造とはどのようなものなのか。
人間は本来の30%ほどしか力を使っていないと言われています。
その理由がフルに力を出してしまうと体の構造が耐えられない(筋繊維がボロボロに切れてしまったり、骨折してしまったりする)からとのこと。
そしてその力を発揮する時というのが「火事場の馬鹿力」と呼ばれるもので、人は緊急事態に陥った時に普段では考えられないほどの力を引き出すと言われています。
火事などで建物が危機的状態に陥った時に中の人が普段ではとても持つことができないような重い家具を引きずり出すといったもので、このようなケースは実例として存在しているものです。
また必死になって逃げる時に普段ではとても出せないようなスピードで走れるといったケースもあります。

これらは交感神経と副交感神経によって作用されるもので、緊急事態となった時に交感神経によって血流やアドレナリンが増加させられて身体能力が高まり、それを沈める時には副交感神経が働くとされています。

またスポーツで違反とされているドーピング。
これも薬物によって普段では引き出せない力を出すことを可能とするもので、火事場の馬鹿力によって引き出される力を薬物によって意図的に引き出していると考えられるものです。
よって人がドーピングによって普段では出せない力を発揮する状態をイメージしたのなら、それは力の引き出し幅の差はあっても火事場の馬鹿力を発揮する時と同じ性質のものとなります。

界王拳とはリミッターを外してその者の真の力を発揮するタイプの技だと考えられます。



−2−

体が安全な範囲の限界内の界王拳とはどのようなものなのか。
これは現実でスポーツ選手がドーピングで力を引き出すのに近い感覚でとらえられるものではないかと思う。
火事場の馬鹿力はその力の引き出し幅が大きいと筋繊維がボロボロになったり、骨折するなどのダメージを受けます。
しかしスポーツ選手のドーピングとはそれをやっていることがわかりにくいくらいの力の引き出し幅で、いくらか運動能力が向上するといった範囲のものです。
自らの体が損傷してしまうほどのダメージも受けないものと思う。

それに対して火事場の馬鹿力として紹介されるケースの多くは、明らかに普段は出せないとわかるほどのとてつもない力が発揮されるものです。
その結果が筋繊維や骨の損傷につながるもので、こちらは限界越え界王拳のような感覚でとらえられるものになります。



−3−

界王拳とは現実の人間が火事場の馬鹿力を発揮する時の性質から考えられてくるものだと考えました。
これを作中の内容から立証していきたいと思います。

ここで見ていきたいのがフリーザの100%フルパワーの性質です。

フリーザが100%フルパワーの使用を決断した場面。

▽超悟空
「なぜ今になってフルパワーを・・・?分かっているぞ。全力を使うとおまえの体そのものが耐えられないからだ」


この「全力を使うとフリーザの体が耐えられなくなる」とはどのようなものなのか。
これは現実の人間が100%の力をフルに使うと体が耐えられなくなってしまう(そのために普段は3割ほどの力しか出ないようにリミッターがかけられている)というのと同じ理論で考えられるものではないかと思います。

そして悟空の界王拳の特徴。

▽界王様
「このわたしですら成しえなかった界王拳をよくぞここまでものにしたな・・・。すばらしいぞ孫悟空・・・。しかしくれぐれも言うが今のレベルでは界王拳をあまり多用してはならんぞ。コントロールをあやまればおのれの身を壊すことになる・・・。せいぜい2倍までのパワーにおさえておけ。いいな。それを超える界王拳はおまえの体には負担が大きすぎるのだ・・・。つまり界王拳に体がついていけずしっぺ返しをくらうことになる・・・」

この限界超え界王拳を使う時の「体への負担が大ぎすぎて耐えられなくなる」という特徴とフリーザが100%フルパワーを使う時の「耐えられなくなる」という特徴は同じものではないかと思う。

よって限界超え界王拳とはフリーザの100%フルパワーや現実の人間の火事場の馬鹿力と同じく、リミッターを外してその者の真の力を引き出す性質の技と考えられます。



−4−

リミッター外しによって超パワーを発揮する必殺技というのは、他作品でもよく見られるものになっています。

1つ例を上げると『NARUTO』で出てきた、リーやガイの使う「裏蓮華」という技。

中忍選抜試験で「ロック・リーvs我愛羅」のバトルが行なわれた場面を振り返ります。

カカシ「まさかガイ・・・ おまえ!」
ガイ「お前の想像通りだ」 カカシ「・・・・・・!」 「じゃあ・・・下忍のあの子が八門遁甲の体内門を・・・」 ガイ「そうだ。開ける・・・」
カカシ「(なんてこった・・・)」
ガイ「あの子にはその才能があった・・・」
カカシ「いくら才能があったとしても・・・そんな危険な技を・・・!」
「裏蓮華だけは教えてはならん技でしょうが!」

カカシ「(あの異常な体力回復は休門をこじ開けたからか・・・)」
「ガイ・・・。今あの子は八門遁甲のいくつまでの門を開ける・・・!?」
ガイ「五門だ」
カカシ「!!」
「(努力でどうこうなるもんじゃないぞ・・・。あの子・・・やっぱり天才か・・・)」
サクラ「な・・・なんなのよさっきから!はちもんとんこうってなによ!?」
ガイ「裏蓮華に行くまでの前準備で行なう『リミッター外し』のことだ」
サクラ「リミッター外し?」
カカシ「そうだ!チャクラの流れる経絡系上には頭部から順に体の各部に『開門』『休門』『生門』『傷門』『杜門』『景門』『驚門』『死門』と呼ばれるチャクラ穴の密集した8つの場所がある。これを八門と言うんだ」
「この八門は体を流れるチャクラの量に常に制限(リミット)を設けているが、蓮華はその制限の枠をムリヤリチャクラで外し、本来の何十倍にも当たる力を引き出す事を極意とする・・・。例えその力と引き換えに術者の体が崩壊していこうとも・・・」
ガイ「ちなみに表蓮華は一の門『開門』を開けるだけだ」
サクラ「・・・・・・!じゃあ・・・裏蓮華は・・・」
ガイ「開門で脳の抑制を外し、体門でむりやり体力を上げる・・・。そして第三の生門から裏蓮華に入る・・・」
サクラ「そんな・・・表蓮華だけでもあんなに体中がボロボロになっちゃうのにそれ以上の技なんかやったら・・・」
カカシ「そうだ・・・。この技はまさに諸刃の剣。八門全てを開いた状態を八門遁甲の陣といい、少しの間 火影をすら上回る力を手にする代わり、その者は必ず・・・ 死ぬ!」

ドラゴンボールの戦士の体の構造とNARUTOの戦士の体の構造は異なるものがあるので、そのまま当てはめることはできませんが、いくつかの共通する部分はあります。

「この八門は体を流れるチャクラの量に常に制限(リミット)を設けているが、蓮華はその制限の枠をムリヤリチャクラで外し、本来の何十倍にも当たる力を引き出す事を極意とする・・・。例えその力と引き換えに術者の体が崩壊していこうとも・・・」

体を流れるチャクラの量に常に制限(リミット)をかけているというのは、現実の人間が体の安全保護のためにかけられているリミッターと同じものと見ていいのではないかと思う。

そしてそのリミッターを自分の意志で外して体の負担と引き換えに普段の何十倍もの力を発揮するというのは、現実の人間でいう「火事場の馬鹿力」やドラゴンボールの界王拳理論にあたるものではないかと考えます。

『NARUTO』の「蓮華」をDB風に言うなら、「表蓮華」は限界内の界王拳のようなもので、「裏蓮華」は限界超え界王拳のようなものと言えるのではないかと思う。

他に界王拳と蓮華の共通点として、第一部の下忍時代のリーは裏蓮華の五問を開放して体がボロボロの再起不能状態になったのに対して、基本の強さが高いガイは鬼鮫戦で裏蓮華の五門開放を普通に使えています。
これも界王拳の特徴である、基本戦闘力が上がるほど高い倍率の界王拳に耐えられるというものと同じ性質ではないかと思う。

またキン肉マンの「火事場のクソ力」というのは、現実の「火事場のバカ力」と同様のリミッター外しと明確にわかるものです。
また『テニスの王子様』で、超サイヤ人のパクリだと思われる「無我の境地」には、消耗の激しさなど界王拳に類似する特徴も見られ、リミッター外しと呼ばれているなど、これらと同系統のものと考えられます。
『ONE PIECE』のギアセカンドや『黒子のバスケ』のゾーンも、リミッター外し系の技と推測されるものです。

このように超人の対決作品では、リミッター外し系の技は、割とよく見られる定番のものとなっています。





考察メニュー(気と戦闘力の関係)
TOP
inserted by FC2 system